AI智能总结
Christian Keller+44 (0) 20 7773 2031christian.keller@barclays.comBarclays, UKMark Cus Babic+1 212 526 1870mark.cusbabic@barclays.comBCI, USAkash Utsav+91 (0) 22 6175 1543akash.utsav@barclays.comBarclays, UK(日本でのコンタクト先)橋本龍一郎+81 3 4530 1372ryuichiro.hashimoto@barclays.comBSJL, Japanwww.barclays.com 日本および他の国々でも財政動学に注目が集まる財政問題は米国だけの話ではない。2025年5月15日付「米国:『大きくて美しい』赤字」で論じたように、米国は好況時であっても財政赤字/GDP比率が恒常的に6.5~7.0%となる可能性が高いが、パンデミック以降、多くの先進国および新興国では景気循環調整後のプライマリー収支が悪化し、公的債務残高も増加している。日本では、首相が自国の財政状況を「ギリシャより悪い」と述べたことから(欧州債務危機の際のギリシャに言及)、特に注目が集まっている。日本の政府債務が突出して高いこと(名目ベースでGDP比236%)は目新しい話ではないが、インフレ率が目標を上回り、日銀が金融政策の引き締めに転じている点は新しい。日銀は政策金利の引き上げに加え、大量のJGB保有高を徐々に減らす(すなわち量的引き締め)にも着手している。このような状況において、日本の流動的な政治情勢も市場の懸念材料となっている。与党は昨年の衆院選で過半数を失っており、世論調査での支持率も低迷していることから、7月の参院選を前に石破首相は大きな圧力に直面している。野党は消費税減税や現金給付を主張し、米国は防衛費の増額を求めており、一段の財政拡張を求める圧力は強い。パンデミック以降は各国で財政赤字が拡大図表4…政府債務は緩やかな拡大を続ける出所:IMF、Haver Analytics、バークレイズ・リサーチ注:各国の単純(非加重)平均。出所:IMF、Haver Analytics、バークレイズ・リサーチGDP比%総政府債務景気循環調整後のプライマリー収支主要新興国主要新興国(右軸) 2 3日本に限らず、財政悪化は広範に及んでおり、それは構造的要因によって説明される。パンデミックの前から、債券市場は数十年にわたる強気相場を経てゼロまたはマイナス金利に達していた。政府の資金調達コストが極めて低かったため、債務水準はさほど重視されなくなっていた。このような政治の力学は、金利が大幅に上昇した現在でも簡単には覆せない。金利上昇は政府の利払費を直接的に増加させる。2024年に米国の純利払費はGDP比3.1%に達し、1980年代および1990年代の水準に回帰している。また、高齢化によって年金や医療への支出がますます増大する一方で、納税者数の増加ペースは鈍化している。より最近では、防衛費の増大も多くの国々にとって追加的な圧力となっている。総じて、全ての先進国において、財政収支のダイナミクスと公的債務の持続可能性に再び注目が集まる可能性がある。打ちのめされた債券市場各市場でロングエンドの実質利回りが上昇公的債務動学に関する懸念は、長期国債市場に最も強く反映されている。米国では30年債利回りが2月下旬の4.5%から5%を超える水準まで上昇するとともに、スワップ・スプレッドが大きく縮小した。日本ではさらに動きが激しく、先週は30年債利回りが3.17%と過去最高を記録した。欧州の動きはそれほど極端ではないが、利回りは同調して上昇している。財政懸念という背景から、ターム・プレミアムの上昇が金利上昇の大半を説明している。インフレ期待は多くの国で上昇しているものの、主な要因は実質利回りの上昇である。非居住者保有割合(%)中銀保有割合(%)平均残存期間(年)総調達所要額(GDP比%)景気循環調整後プライマリー収支(2024年、GDP比%)左記収支の2025~30年の変化(IMF予測、pp)1345933-2.1-0.892.30.434227140.21.32713635-3.91.05318815-3.50.3248614-1.70.862171018-3.0-1.34824812-2.01.728231412-3.62.35024862.1-0.35721714-2.80.668201211-3.10.4472478-1.3-1.742238-0.2700600.00.3552410-24.20.21011110.8-0.322935-0.61.0260913.1-0.9出所:IMF、Haver Analytics、バークレイズ・リサーチ クラウドアウトと金融安定性への懸念さらに激しい調整が発生しないとしても、これまでの債券市場のリプライスは実体経済に影響を及ぼすだろう。政府のみならず民間部門にとっても利払負担が増加し、それにより民間投資が抑制される(クラウドアウト)。最も直接的な影響を受ける分野の一つが、米大統領がよく知る不動産である。米国債利回りの上昇に伴い30年モーゲージ金利は7%を超え、2000年以来の高水準となっった。利回りの異例の急変動と、それによりもたらされる長期資産のバリュエーションの低下は、金融安定性への懸念を高める可能性もある。例えば、日本の銀行、年金基金、保険会社は構造的にデュレーション・リスクへのエクスポージャーが大きい。日銀によれば、日本の銀行はバリュエーションの著しい低下を経験しているが、長期円建て債保有額の減少や金利ヘッジによってある程度緩和されている。また、債券を満期保有目的で保有し、時価評価を行わないことも助けになるとみられるが、万能薬ではない。さらに、JGB市場ではストレスの兆候もみられる。具体的には、イールドカーブが右肩上がりであるにもかかわらず、35年債の利回りはオンザラン40年債よりも100bp近く高い。長期債利回りは先進国で軒並み上昇図表7国債利回りの上昇は民間投資をクラウドアウトする傾向出所:財務省、Bbk、LSEG、MoFJ、Haver Analytics、バークレイズ・リサーチ出所:Bloomberg、バークレイズ・リサーチ恐ろしい双子財政政策は貯蓄投資バランスにとって重要拡張的な財政政策はマクロ経済にも影響を及ぼす。米国の現政権は高率の関税を導入しつつあり、その目的の一つは米国の対外赤字の削減にある。「米国の低関税と貿易相手国の高関税(およびその他の貿易障壁)が相まって、米国の貿易赤字を拡大させてきた」というのがその主張である。しかし、マクロ経済的には、経常収支は国内貯蓄と投資の差を表す。したがって、経常赤字は国全体(公共および民間部門)の貯蓄が投資に対して不足しているか、投資率が高いか、あるいはその両方を反映している可能性がある。特に成長率が(景気循環調整後で)すでに潜在成長率を上回っている状況では、大規模な財政赤字(すなわち公共部門の貯蓄が少ない状態)を維持することは、経常赤字を拡大させる政策である。米国では、政府貯蓄に加えて家計貯蓄も低いが、投資は高水準に維持されている(実際、現政権および前政権は投資を積極的に奨励してきた)。このため、米国は巨額の対外経常赤字を抱えている。米国は財政収支と経常収支の「双子の赤字」が際立つ実際、主要先進国において米国は現在最も大きな「双子の赤字」(すなわち財政赤字と経常赤字の組み合わせ)を抱えている。英国も同様である。これに対し、日本は政府債務残高こそ非常に高いものの、景気循環調整後のプライマリー収支はより健全であり、30年国債利回り米30年債利回りとモーゲージ金利30年モーゲージ金利米国日本 4米30年国債利回り Barclays |海外投資戦略スナップショット2025年5月26日経常収支は黒字である。注目すべきは、低成長・高債務のイタリアですら、プライマリー黒字と経常黒字を達成していることだ。これはイタリアの国内債務動学に問題がないことを意味するのではなく、対外貯蓄に依存していない(すなわち、資金調達において外国の資本フローに頼っていない)ことを意味している。マクロ経済の観点からは、これほど大きな双子の赤字とヒストリカルに強い通貨が共存している状況は、いずれ何らかの調整を余儀なくされるだろう。政策によって調整されない場合、それは為替レートを通じて、あるいは両者の組み合わせによって調整されるであろう。図表10主要先進国において米国が抱える巨額の双子の赤字は際立っている注:バブルの大きさ=2024年の一般政府総債務(GDP比%)。出所:IMF、Haver Analytics、バークレイズ・リサーチまだ終わったわけではない(It ain't over 'til it's over)財政問題に注目が集まるなか、関税問題は市場が信じたがっているほどには片付いていないことが徐々に明らかになりつつある。週末にはトランプ大統領がソーシャルメディアへの投稿で、米国が6月1日からEUに対して50%の関税を課すことを唐突に提案した(訳注:大統領は26日、関税発動期限を7月9日まで延長すると表明)。また、大統領はiPhoneが米国内で生産されない場合にはアップル製品に25%の関税を課すと警告した(米国製iPhoneの価格は3,500ドルに達するとの試算もある1)。貿易摩擦は、米中合1'Trump says a 25% tariff ‘must be paid by Apple’ on iPhones not made in the U.S.',CNBC, 23 May 2025図表8米国の貯蓄減少が貯蓄・投資ギャップを拡大させ…出所:IMF、Haver Analytics、バークレイズ・リサーチGDP比%米国の貯蓄と投資貯蓄投資経常収支、GDP比% 出所:FRB、Haver Analytics、バークレイズ・リサーチ先進国の経常赤字とプライマリー収支、2024年景気循環調整後の一般政府プライマリー収支、GDP比% 5 6意を経て多くの人々が期待していたほどには解決に向かっていないことが窺われる。さらに、先日の報道で、米国は今後2~3週間のうちに二国間協定から離れ、一方的に関税率 を 設 定 し 、 各 国 が 「 支 払 う 金 額 (they'll be paying) 」 を 「 基 本 的 に 通 知 す る(essentially telling people)」書簡を送付すると伝えられたことも忘れてはならない。念のため言っておくと、当社はEUに対する50%の関税は実際には発動されることはなく、グリア米通商代表とEUの通商担当委員との交渉を前にした交渉術ではないかと考えている(2025年5月23日付「Thinking Macro: Here we go again」を参照)。実際、ベッセント財務長官はトランプ大統領の警告が「EUに火をつける(would light a fireunder the EU)」ことを望むと述べた。ただ、最近の報道を見る限り、7月9日に終了する90日間の猶予期間中に適用されていた10%の相互関税がそのまま延長されるという見方は楽観的すぎる可能性がある。例えば、当社は対EU関税が最終的に50%に達するとは考えていないが、最終的に20%程度に設定される可能性は十分にある。要するに、関税を巡る議論は終了からは程遠い。経済指標のレビューとプレビュー先週は経済指標のフローが比較的静かだった。重要な指標として、5月ユーロ圏PMIは50を下回り、2025年4-6月期の経済活動が減速していることを裏付けた。同様に、中国では4月小売売上高が3月の高水準から鈍化したが、2024年1-3月期~2025年1-3月期の平均よりもなお良好である。一方、中国の不動産セクターは引き