AI智能总结
2050年までにカーボンニュートラルを実現するためには、全ての産業・企業が、脱炭素化に向けた移行(トランジション)を進めていくことが必要です。日本政府としては、そのために必要な資金を供給するトランジション・ファイナンスの促進に取り組んでおりますが、2021年に策定した「クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針」においては、資金調達者の「トランジション戦略」を重要な開示要素としています。クライメート・ボンド・イニシアチブのガイダンスは、金融機関・投資家が、企業のトランジション戦略ないし移行計画の信頼性・有効性を評価するに際しての一つの視座を示すものであり、トランジション・ファイナンスに取り組む関係者の良き参考となることを期待しております。金融庁総合政策局総合政策課長高田英樹日本語版の作成に寄せて翻訳・デザイン協力:大和証券株式会社 PAGE2 ガイダンスにおける重要項目トランジション計画は必ず、明確、測定可能かつ野心的な変革のための目標を含まなければならない。目標は必ず、短期、中期そして長期にわたって設定され近い将来で急速かつ先行的な排出削減を伴うものでなくてはならない。カーボンクレジットやオフセットを短中期的な目標達成の手段として用いてはならない。変革のための手段は明確に特定され、堅牢な財務計画に基づいてコストが算定されるべきである。Scope3の排出量が大きい産業にとって、サプライヤーや消費者とのエンゲージメントは重要である。 2050年までにグローバルでネットゼロを実現するには、すべての産業と組織が脱炭素社会へと移行しなければならない。再生可能エネルギーに係るインフラの成長、発電及び運輸部門での化石燃料への依存度削減及び建築物におけるエネルギー効率対策の取組みの普及などでは進展がみられているものの、経済全体の全てのセクターにおいてより大きな、そして迅速な行動が求められている。化石燃料による発電は速やか なフェー ズアウトが 求められており、また排出 削減が困 難(Hard-to-Abate)なセメントや鉄鋼のようなセクターは脱炭素化され、農業や食料システムのありようも変革が必要とされている。トランジション計画は、こうした変革のプロセスにとって重要であり、すべての事業体(とりわけ、高排出な事業体)はパリ協定が掲げる1.5℃目標に整合し、信頼性が高くかつ現実的なトランジション計画を策定するか、すでに策定しているべきであろう。しかしながらSustainalyticsによる調査によれば、自社の事業運営を1.5℃目標と整合させるためのトランジション計画を策定もしくは実施できている企業はわずかしかいないことが示されている。トランジション計画とは、期間を定めた追跡可能な戦略とロードマップであり、ネットゼロ実現のため科学的根拠に基づいた経路と整合した排出削減のための計画とアクションを示すものである。迅速なアクションが取れるか否かは、堅牢で野心的なトランジション計画の策定、実施、モニタリング、そして更新に依存するだろう。これらの計画によって資本市場の参加者は信頼性の高い投資対象を特定し、資金を投じることが可能となり、投資活動を通じた世界的なネットゼロへの移行を推進することができる。またトランジション計画の策定は環境改善に係る情報開示を求めるEUの企業サステナビリティ報告指令(CSRD)とも整合した動きということができる。しかし、信頼性の高いトランジション計画の特定は必ずしも単純なことではない。トランジション計画は技術的な環境面での数値目標を達成するために、ビジネス全体の変革を意図して、複雑かつ包括的な戦略として設計されるためである。こ う した 状 況 を 踏 ま え 、 ク ライ メー ト ・ボ ン ド ・ イ ニシ ア チ ブ (Climate Bonds Initiative) は 、 ク ラ イメー トボ ン ド基 準(Climate Bonds Standards(CBS))及びCBI認証のスキームを拡張し、新たにトランジション計画の野心性や堅牢性に対する評価に基づく事業体認証を追加するに至った。詳細な情報は、クライメートボンド基準のVersion 4.0及び関連するチェックリストに示されている。本ペーパーは、ステークホルダーが、信頼性の高いトランジション計画に係る基本的な要素を理解するための補完的で、入門的なガイドとして策定されており、トランジション計画に対する独立した詳細な検証や認証の代わりになるものではない。本ペーパ ー 及 び ク ラ イ メ ー ト ・ ボ ン ド ・ イ ニ シ ア チ ブ に よ る 事 業 体 認 証 の 要 件は 、2022年 に 公 表 さ れ た“Transition fortransforming companies: Tools to assess companies’ transitions and their SLBs”で示した信頼性の高いトランジションの5つの特徴(5 Hallmarks)に基づいて策定されたものである。これらの5つの特徴は以下に示す、「Ambition(野心性)」、「Action(具体的な行動)」及び「Accountability(説明責任)」からなるトリプルA(AAA)フレームワークに組み込まれている。これらが充足されることで、企業が持続可能な未来の実現に向けて取り組む意欲、能力、取組状況を開示する透明性を併せ持っていることを示すものである。※2023年の企業サステナビリティ報告指令(CSRD)第19条aでは、「適切な場合には、少なくとも2030年及び2050年に向けた温室効果ガスの絶対量での削減目標を含む、サステナビリティに係る期限付目標の説明、目標に向けた進捗状況の説明、ならびに当該環境目標が確かな科学的根拠に基づいたものであるという宣言」が求められている。概要企業のトランジション計画を評価するためのフレームワーク 1 PAGE4※、2 図1:トランジション計画に係るトリプルA(AAA)フレームワークトランジション計画に係る特徴トランジション計画の信頼性を高いものとするには、計画が期間を定めた数値目標、実施及び財務計画を含み、かつそれらについて余すところなく透明性が確保されている必要がある。以下に示す5つの特徴はトランジション計画が十分に包括的かどうか、見極めるための枠組みについてのガイダンスを提供するものである(図2参照)。目標の野心性やScope設定に係るマテリアリティについての詳細は、その他の情報源を参照されたいが、これらについての情報は、特徴1の下で示されている。企業のトランジションに係る情報は、一つの包括的な文書に含まれ、一般に開示されて年次で更新されることが望ましい。しかし、情報はしばしば断片的なものとなり、必要な情報の特定も理解も困難な場合がある。想定される情報源としては、企業全体のトランジションや気候戦略に係る文書、年次のサステナビリティレポート、サステナブルファイナンスフレームワークなどが考えられる。トランジション計画に係る第三者機関による認証や検証(現在はクライメート・ボンド・イニシアチブやAssessing CorporateTransition Initiative(ACT)などが提供)は、企業がステークホルダーと目標の野心性についてコミュニケーションをする際の、または、投資家がトランジション計画の信頼性の高さについて確信を持つための、非常に有益なツールである。そのためクライメート・ボンド・イニシアチブでは、あらゆるトランジション計画が第三者認証を取得することを推奨している。しかし、トランジション計画がどのような内容を含むべきであり、計画に係る追加的な関連情報をどのように見つけるべきかについては、全てのステークホルダーが理解をしている必要がある。AMBITION・数値目標(Performance Targets)ACTION・堅牢な行動計画(RobustPlans)・具体的な行動(Action)ACCOUNTABILITY・ガバナンス(Governance)・検証の取得と情報開示(Verification andDisclosure)要旨企業のトランジション計画を評価するためのフレームワーク AMBITION(野心性)ACCOUNTABILITY(野心性)(具体的な行動)(説明責任) PAGE5 マーケットに対してトランジション計画に係る基本的なガイダンスを提供するために、クライメート・ボンド・イニシアチブは本ペーパーを作成し、5つの特徴に沿ったトランジション計画のハイレベルな要件を示している。これらの特徴は国際資本市場協会(ICMA)によるトランジションに係る原則や気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)による情報開示の要件等に基づき、完全に整合するように作られている。トランジション計画の信頼性の高さを示すための特徴は、RedFlagsとGreenFlagsにそれぞれ色分けされている。GreenFlagsはトランジション計画に含まれるべき主要な要素を示し、RedFlagsはより厳密な精査が求められる、漏れが発生しうるポイントや懸案事項を示す。図2には、信頼性の高いトランジション計画のための5つの特徴ごとに含まれるべき情報が示されている。数値目標には、気候変動緩和の観点を含まねばならず、また他のマテリアルな環境問題も含められるべきである。EUの欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)は、企業サステナビリティ報告指令(CSRD)の導入を念頭に欧州財務報告諮問グループ(EFRAG)によって2022年に策定されたもので、考慮の対象となりうる数値目標の種類のよい概要を提供している。またEUタクソノミーは複数のセクターにおいて持続可能な取組みに係るガイダンスの追加的な情報源として有用である。図2:AAAフレームワークと5つの特徴の関係(クライメート・ボンド・イニシアチブ、2021)トランジション計画に係る特徴トランジション計画に係るAAAフレームワークAMBITION(野心性)ACTION(具体的な行動)PERFORMANCETARGETS(数値目標)ROBUST PLANS(堅牢な計画)ビジョン戦略的ストーリー毎年の進捗の検証Scope1,2&3に係るアクションプラン中間マイルストーンその他アクションプラン数値目標の設定内部ポリシーとの整合性感度の高い分析HALLMARKS2&3(特徴2&3)気候変動緩和気候変動適応とレジリエンスネイチャーポジティブの追求公正な移行HALLMARK1(特徴1)ACTION(具体的な行動) PAGE63・4ACCOUNTABILITY(説明責任)GOVERNANCE(ガバナンス)取締役会及び役員レベルでの責任目標と計画の(再)設定とモニタリング計画の修正開示される情報比較可能性とアクセス可能性HALLMARKS 4&5(特徴4&5)DISCLOSURE(情報開示) 1.企 業 が 短 期、中 期 、長 期 の 環境 目 標 を 定 量 化 し た 数 値 目 標 を 設定 し て い る 場 合 。気 候 変 動 の 緩 和 に 関 し ては 、こ れ ら の 数 値 目 標 が企業の 管理 下に あ り、影 響 を及ぼ す こと の で きるす べて の事 業運営に 由 来 す る す べ て の マ テ リ ア ル な 温 室 効 果 ガ ス の 排 出 量(Scope1,2及び3)に関連した数値となっている。図3は 、各 セ ク タ ー で 考慮 さ れ る べ き 温室 効 果 ガ ス 排 出 の 全 体像 につい て示 して いる 。排出 目標 に 含ま れて い ない あ ら ゆる 温 室効 果 ガス の排 出が、企業 にとっ て マテリ ア ル な もの では な い場合 、もし くは企業の管理下にない場合、そのことが説明され正当化さ




