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Strategy&|サステナブルなパッケージの追究2国際社会におけるパッケージ関連規制の強化世の中にはさまざまな種類の「パッケージ」があふれている。食品包装、飲料容器、マイボトル、宅配便梱包、物流梱包など、パッケージを目にしない日は無い。そしてそれらはおおむねプラスチック、紙、アルミ、ガラスなどで生産されている。このパッケージについて、国際社会では「サステナビリティ」の観点で抜本的な規制強化が進んでいる。例えばプラスチックのパッケージについて、EUでは、一部の使い捨てプラスチック製品の流通を禁止するとともに、プラスチックボトルの回収・リサイクルを目指すことなどを定める「特定プラスチック製品の環境負荷低減に関わる指令」が2019年に採択され、各国で法の整備が進んでいる。また、包装および包装廃棄物指令(PPWD)を「包装および包装廃棄物規則(PPWR)」へ改正する(厳格化する)ことが欧州委員会により採択され、2024年3月には政治合意に至っている。米国でも、例えばカリフォルニア州で「プラスチック汚染防止および包装の生産者責任に関する法案(Plastic Pollution Prevention and Packaging Producer ResponsibilityAct SB 54)」が2022年6月に成立した。このほか、海洋プラスチック問題対策として海洋保護2.0法(Save OurSeas 2.0 Act)を2020年12月に可決し、これに基づきEPA(環境保護庁)がリサイクルのための固形廃棄物インフラ構築に2億7,500万ドルの助成金を提供するなどしている。なお、プラスチックそのものについても、国際社会において「プラスチック汚染に関する法的拘束力のある国際文書(条約)」を策定すべく、2024年末までの作業完了を目指し、政府間交渉委員会(Intergovernmental Negotiating Committee:INC)が進行している。 サステナブルなパッケージの追究プラスチックのパッケージについてこうした規制強化が進められている背景には、「廃棄物」や「温室効果ガス(GHG)排出」などの問題がある。前者については、海洋資源・陸上資源への影響はもちろんのこと、人間の血中からマイクロプラスチックが検出される状況も発生している。後者についても、プラスチックの生産工程や、廃棄工程におけるサーマルリサイクルおよび単純焼却により、多量の二酸化炭素(CO2)が排出される状況が発生している。そうした状況を踏まえれば、われわれが提唱する6R、すなわち、根本的に製品の使用をやめる選択(Remove)、代替製品やサービスによる置換(Replace)、新たな素材への転換(Renovate)、設計仕様変更による含有量の削減(Reduce)、再利用(Reuse)、マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルなどの再生利用(Recycle)といった対策を講じる必要があること、そして社会としてサーキュラーエコノミー(サーキュラーカーボンエコノミー)のような新たなエコシステムを実装する必要があることは自明だ。しかし人間は慣れ親しんだ便利なものを手放すのが苦手である。そのため規制強化が必要となっている。なお、プラスチックだけでなく、その他の素材を原材料とするパッケージも同様である。例えば紙のパッケージについても「資源」や「GHG排出」などの問題が存在している。このため、紙のパッケージについても、再生材利用の促進に加え、気密性や耐久性などとリサイクル性を両立する技術を開発するなどの対策を講じる必要がある。アルミニウムやガラスなどのパッケージについても同様で、生産工程や物流工程におけるGHG排出問題などが存在しており、対策が必要である。図表16 Rs for strategic decision出所:Strategy&(2024年)「プラスチックとネットゼロ」Replaceサービス等により置換する再利用する再生利用する使用量(含有量)を削減する再生可能素材や新素材へ進化させる使用をやめるRemoveReduceReuseRecycleRenovate6 Rsfor plastics Strategy&|サステナブルなパッケージの追究4日本にとっての事業機会国際社会においてパッケージ関連規制の強化が進むなか、日本は「世界第2位の1人あたりプラスチックごみ排出国(国連環境計画(UNEP))」と言われているにもかかわらず、規制が緩い。よって、国も企業も個人も、サステナビリティの重要性および国際社会の潮流を理解し、認識を改め、抜本的な対策に取り組まなければならない。この状況は一見するとネガティブに見えるかもしれない。しかし、見方を変えれば「日本には世界が必要としている新たな解決策を開発する機会が豊富に存在している」ということでもある。新たな解決策は、常に一定の市場がなければ育たないからだ。よって日本は今こそ本件に全力で取り組むべきである。具体的な取り組みの例としては以下のようなものが考えられる。軽量化の技術開発軽量化による材料コスト、生産コスト、輸送コストの低減は、これまでも継続的に実施されてきた。そしてそれはGHG排出量の削減にも効果がある。例えば平均的なプラスチックのボトルや容器から数グラムでもバージン材の投入量を削減できれば、生産や輸送におけるGHG排出量を削減することができる。Strategy&英国のベンチマークによると、欧州における一般的な500ml炭酸ソフトドリンクの使い捨てペットボトルの平均重量は、2008年から2022年にかけて33%減少した。ただし、軽量化にはトレードオフがあるためバランスを取る必要がある。軽量化は往々にして薄肉化によって実施されるため、強度や耐久性などとのトレードオフが生じ、使用後の価値が低下しやすくなり、リユースしにくくなる可能性がある。また、破損しやすくなり、漏れなどの問題が悪化しかねない。同様に、単一素材に比して性能を向上させるマルチマテリアル化も、廃棄後の素材分別の難化や、現在のリサイクルインフラでは対応できないなどの課題があり、循環性の妨げになり得る。そうした課題を解決し、コストとGHG排出量の削減を両立する軽量化を実現できれば、それは競争力になり得る。図表2500ml炭酸ソフトドリンク用ペットボトルの平均重量推移(2008年~2025年予測)出所:Strategy&(2024)Activating pathways to sustainable plastic packaging2008年~30g ~20g~XXg~▲33%~▲XX%2022年2025年予測 よって、そうした課題を解決する代替素材を開発することができれば、競争力になり得る。なお、プラスチックの代替素材としてはアルミニウムやガラスもあるが、それらは(少なくとも現在においては)生産や輸送などのプロセスにおけるGHG排出量の影響によりペットボトルよりカーボンフットプリントが大きくなってしまうケースがある。紙についても同様で、後述するリサイクル性の高い技術開発が必要である。代替素材の採用にあたってはそうしたことも考慮する必要があり、まだまだ解決されていない課題が多い。リサイクル性の高いパッケージの開発プラスチックにしろ紙にしろ、パッケージの性能向上のためのマルチマテリアル化のほか、接着剤、インク、ラミネート加工などは、リサイクル性を低下させる。よって、リサイクル性の高いパッケージを開発できれば競争力になり得る。また、さまざまなパッケージ形式や素材の混在もリサイクル性を低下させる。よって、新たに開発するパッケージを国際標準化できれば(もしくは貴社がターゲットとする国や地域において標準化できれば)事業性の観点でも有効である。代替素材の開発まず思いあたるのが、従来のプラスチックのバイオプラスチックへの転換だろう。バイオマスなどの再生可能資源を原材料とすることにより、GHG排出量を20~30%削減できる。ただし現在のバイオプラスチックにはいくつかの問題がある。例えば、コストが従来品より20~50%高くなる傾向がある。バイオエタノールなどを中間原料とするバイオプラスチックは従来品と同等の化学的および物理的特性を実現し得る一方、原材料調達が食料問題や飼料不足の原因になると言われている。また、生分解性プラスチックは従来品に比して強度などが劣る。最終製品から来る多様な要求仕様に応えるために従来品もさまざまな混ぜ物をしているなか、完璧な代替素材の開発は難度が高い。そして、消費者が「たとえ植物由来のプラスチックであったとしても、廃棄すれば自然に影響を及ぼす」という認識を有しているがゆえに敬遠される可能性がある。 サステナブルなパッケージの追究 Strategy&|サステナブルなパッケージの追究6リターナブルパッケージによるリユーススキームの開発リユースは使い捨てパッケージの削減を可能にするソリューションであり、サーキュラーエコノミーの重要な要素の1つであるが、単一のパッケージ仕様やプロセスではなく、リフィル、リターン、リファービッシュなどが含まれる。このうちリターンで用いられるリターナブルパッケージは、当初の目的と同じ目的で複数回使用できるように設計された耐久性のあるパッケージである。例えば、詰め替え可能なガラス瓶、ビールの樽、輸送用の通い箱などが挙げられる。これらのリターナブルパッケージは、使用後、多くの場合はデポジットのインセンティブにより回収される。リターナブルを実現するためには、生産、包装、流通、回収、再利用のサイクルを網羅する体系的なアプローチが必要であり、それを可能にするためには、当該事業に取り組む企業のバリューチェーンを適切に統合設計し、提携先なども含めたエコシステムを機能させる必要がある。なお、リターナブルパッケージは一見すると環境に優しい印象があるが、実際は循環性と炭素排出量の両方に影響を与え得る。パッケージを再利用することにより大幅なGHG排出量削減を実現するが、バリューチェーン全体で見ると、保管、配送、回収、洗浄などで排出量が増加する。したがって、同等の役割を果たすシングルユースのパッケージと適切に比較したうえで評価する必要がある。また、リターナブルは、回収物流、選別、洗浄のほか、リターナブルなパッケージの安全な保管と返却を容易にするためのリターナブルな二次包装を必要とする場合がある。これには例えば物流クレートなどがあるが、密度の低下による単位面積あたり製品数の低下を招くおそれなどがある。その結果、保管、生産・充填、配送などにおいてより多くのスペースが必要となり、効率が低下し、GHG排出量の増加を招き得る。さらに、GHG排出量だけでなく、洗浄時の水の使用や耐用年数終了時の対応などの環境影響も考慮する必要がある。特に、クリーンな水へのアクセスが乏しい地域や、一般的に水が不足している地域では、水の使用が非常に重要になる可能性がある。図表3これからのパッケージのバリューチェーン出所:Strategy&原材料生産リサイクルインフラリユースインフラリサイクル(ケミカル)リサイクル(マテリアル)リターン(主に一次パッケージ)パッケージ生産リファービッシュ包装(最終製品生産) コンシューマードリブンリターン(二次パッケージ)リフィル(セルフリユース)リフィル(詰め替え等)流通(最終製品販売)消費(個人・法人) サステナブルなパッケージの追究その他、われわれの経験を踏まえれば、リターナブルパッケージのリターン率の向上、ダメージ率の低減、回収物流効率の向上(物流を工夫することで影響を軽減できる可能性がある)、リターナブルパッケージの受容の向上などもポイントになる。そうしたことを作り込み、有効なスキームを構築することができれば、それは新たな事業機会になり得る。テクノロジーによる代替の開発パッケージの中には、例えば情報伝達のために使用されているものも