AI智能总结
2高齢者の死亡数の増加は、「相続」という形で、日本の家計資産の世代間移動を加速させる。その際、親世代と子や孫世代の居住地域が異なれば、資産の移動も地域をまたいだものとなり、家計資産の地域分布に変化をもたらす。例えば、北海道在住の親が死亡し、東京在住の子が遺産を受け取れば、家計資産が北海道から東京に移転し、東京への資産集中度が高まることになる。いくつかの統計をもとに試算したところ、今後30年程度の間に相続される金融資産総額は650兆円弱で、このうちの2割、125兆円が地域をまたいで移動するとみられる(詳細後述)。2.地域間移動促す「親が地方で子が大都市圏」の組み合わせ~高度経済成長期の置き土産相続の発生に伴い家計資産の地域間移動が膨らむ最大の要因は、「地方に住む親と三大都市圏に住む子」という組み合わせが多いことである。日本では、1960年代~70年代前半にかけ、非大都市圏(地方)から三大都市圏への大規模な人口移動が発生した(図表2の①~③)。0102030405060708019551960196519701975198019851990199520002005201020152020(万人)東京圏大阪圏名古屋圏75年~89年転入(51歳~65歳)東京圏へ763万人大阪圏へ300万人名古屋圏へ131万人三大都市圏へ1,194万人④三大都市圏への転入ラッシュ(高度経済成長期)65年~69年転入(71歳~75歳)東京圏へ336万人大阪圏へ177万人名古屋圏へ73万人三大都市圏へ586万人②70年~74年転入(66歳~70歳)東京圏へ330万人大阪圏へ161万人名古屋圏へ69万人三大都市圏へ561万人③60年~64年転入(76歳~80歳)東京圏ヘ313万人大阪圏へ178万人名古屋圏へ74万人三大都市圏へ565万人①(注1)三大都市圏は、東京圏=埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、名古屋圏=岐阜県、愛知県、三重県、大阪圏=京都府、大阪府、兵庫県、奈良県。非大都市圏はそれ以外。(注2)吹き出し中の()内は、各時期の転入者の現在の年齢(転入当時平均年齢=18歳と仮定して算出)。(注3)小数点以下の四捨五入の関係で、吹き出し中の「三大都市圏へ」の人数と3都市圏の合計人数が一致しない部分がある。(資料)総務省「住民基本台帳人口移動報告」図表2非大都市圏から三大都市圏への転入者数推移 3高度経済成長期の集団就職者を中心に、15年間で合計1,700万人以上が転入、中でも東京圏1都3県は、980万人という現在の東京23区の人口にも匹敵する大量の転入者を迎え入れた(各大都市圏への5年ごとの転入者数は前頁図表2の吹き出し参照)。およそ15年にわたる三大都市圏への転入ラッシュは、高度経済成長とともに終了するが、東京圏では、その後も1990年頃まで、毎年50万人前後の地方からの人口流入が続いた(図表2の④)。「地方に住む親と三大都市圏に住む子」の組み合わせが多いのは、基本的には高度経済成長期の転入ラッシュの名残りだが、こと東京圏に関しては、大学数や就業機会の多さによる継続的な流入にも起因していると言えよう。地方から三大都市圏への転入者のうち、1960年代前半転入組(図表2の①)は、おおかたが親からの相続を既に終え、現在は被相続人予備軍となっている人も多いだろう。子の年齢別にみた親の生存率データを参考にして、1960年代後半転入組(同②)の2割、70年代前半転入組(同③)の4割、70年代後半~80年代後半転入組(同④)の7割を、今後「地方に住む親の遺産を大都市圏で相続する人」の母集団と考えると1,200万人弱が該当する1。これは転入当初の人数を基に計算したものなので、正確には転出者数や死亡者数を差し引く必要があるが、それでもかなりのボリュームであり、相続による家計資産の地域間移動を促すことは間違いない。3.約3割の県で家計資産の1/4以上が地域外に流出では、実際にどの程度の家計資産が地域2をまたいで移動することになるのだろう。相続の発生に伴い地域外に流出する家計資産の比率(以下「地域外流出率」)を、親子の同居/別居世帯比率や別居地域の内訳データをもとに算出したところ、47都道府県中半数以上、26県で2割を超え(次頁図表3のと)、うち約3割、13県では資産の1/4以上が地域外に流出する可能性がある(同)という結果が得られた。地域外流出率が高い県は、東北地方や中部・北陸地域に比較的多いが、奈良県や愛媛県、大分県など分布は全国にわたる。一方、地域外流出率が低い県をみると、三大都市圏各県を中心とした10県で15%未満となっていた(同と)。中でも東京圏1都3県では、親子が同居する世帯の比率は低いが、親子別居世帯のうち「親子ともに東京圏内」の比率がおよそ9割と非常に高いため、地域外への資産の流出率は6~7%台と飛びぬけて低くなっている(同)。言い換えれば、相続が発生しても家計資産の9割以上が東京圏内に留まるということである。1図表4の④以降の三大都市圏への転入者も相当数に上るが、50歳以下の人の親の生存率は95%前後であることから、ここでは相続人の母集団から除外した。2地域区分は、国立社会保障人口問題研究所「人口移動調査」に基づいたもので、後掲図表6に記載。 4.県別に見た相続発生時の資産のゆくえ~同じ地域内でも違いあり相続発生時の家計資産の行き先を、もう少し細かく①県内残留代で、そもそも相続が発生しない資産を含む)、②地域内の他県への流出の流出--の3つに分けてみたものが次頁図表4である(②+③=県外流出)。資産のゆくえは県ごとにかなり異なり、同じ地域内の県であっても一様ではない。例えば、東北地域では、相続発生時に家計資産の8割が県内に留まる宮城県、地域内の他県(主として宮城県)への流出が多い岩手県や秋田県、地域外への資産流出が多い青森県、山形県、福島県と大きく3つに分かれた。「県外流出率」と「地域外流出率」を軸に、各県の相続発生時の資産流出先を整理すると、いくつかのパターンがみえてくる(次頁図表5)。A:県外流出率が高く、その多くは地域外に出ていく県……青森県、山形県、新潟県、福井県、奈良県、和歌山県、愛媛県など。同一地域内に地方中核都市がないかあっても遠い、あるいは地方中核都市よりむしろ三大都資産流出率25%以上資産流出率20%以上25%未満資産流出率15%以上20%未満資産流出率10%以上15%未満資産流出率10%未満(資料)図表3~図表5全て総務省「国勢調査」、国立社会保障人口問題研究所「人口移動調査」 4(資産保有者が若い世、③地域外へ 5市圏の方が近いため、親元を離れた子が地域外(三大都市圏など)に出ていくケースが多い。B:県外流出率は高いが、同一地域内の他県への移動に留まり、地域外(三大都市圏など)への流出は比較的少ない県……岩手県、秋田県、岐阜県、佐賀県、長崎県など。仙台、名古屋、福岡といった同一地域内にある地方中核都市に近く、親元を離れた子がこの近辺で暮らすケースが多い。C:県外流出率、地域外流出率ともに相対的に低い(=県内残留率が高い)県……大阪府、京都府、兵庫県、北海道、宮城県、愛知県など。地方中核都市を包含する県や大阪圏各府県では、子は親元を離れても親と同一県内や少なくとも地域内には留まるケースが多い。北海道青森県岩手県宮城県秋田県山形県福島県茨城県栃木県群馬県埼玉県千葉県東京都神奈川県新潟県富山県石川県福井県山梨県長野県岐阜県静岡県愛知県三重県滋賀県京都府大阪府兵庫県奈良県和歌山県鳥取県島根県岡山県広島県山口県徳島県香川県愛媛県高知県福岡県佐賀県長崎県熊本県大分県宮崎県鹿児島県沖縄県県内残留域内他県に流出地域外に流出県外流出1015202530354045県外流出率(%)佐賀県奈良県秋田県東京都神奈川県埼玉県千葉県岐阜県愛媛県福島県青森県福井県、和歌山県山形県茨城県宮城県北海道京都府福岡県兵庫県岩手県長崎県富山県沖縄県ABC大阪府愛知県D山梨県新潟県図表4都道府県別にみた相続発生時の家計資産の移動先図表5資産の県外流出率と地域外流出率による分類 020406080100(%)0510152025303540地域外流出率(%) 6D:地域外流出率が極めて低い県……東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県。大学や就業機会が圧倒的に多い東京圏では、子は親元を離れても、県内か少なくとも地域内には留まるケースがほとんど。近年、高齢化や人口減少を起点とした地域経済の停滞などから、地域金融機関の生き残り戦略が取りざたされることも多い。上述のような「相続発生時の家計資産の行き先」の県別特性は、地域金融機関の店舗戦略(再編、出店)や他の金融機関などとの提携戦略などにも影響を与えることになろう。5.東京圏の資産吸収力はブラックホール並み、相続後は家計金融資産の4割が集中続いて、家計資産の中でも、相続の際に確実に移動し、かつ移動金額が把握しやすい「家計金融資産3」について、今後30年程度の間に発生する相続に伴い、どの地域からどの地域へ、どれぐらいの金額が移動するのかを試算した。結果が図表6である。北海道を例にとると、家計が保有する金融資産総額24.7兆円のうち、相続発生時に道内に留まるのは20兆円で、残りは、東北地域に0.3兆円、北関東に0.2兆円、東京圏に3.4兆円など道外(地域外)に流出する。道外流出金融資産は合計4.7兆円である。逆に、相続の発生に伴い道外から流入してくる家計金融資産は合計3.8兆円である。北海道の家計金融資産は、今後約30年間に発生する相続によって、0.8兆円強の流出超過(=減少)となる。3金融資産……預貯金、生命保険など、有価証券(株式、債券、投資信託、貸付信託・金銭信託)。北海道東北北関東東京圏中部・北陸中京圏大阪圏京阪周辺北海道24.720.00.30.23.40.20.20.10.1東北青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島40.80.431.21.17.00.20.20.40.0北関東茨城、栃木、群馬38.70.10.329.47.90.20.10.30.1東京圏埼玉、千葉、東京、神奈川296.62.51.64.3276.92.62.03.40.6中部・北陸新潟、富山、石川、福井、山梨、長野、静岡67.30.40.40.610.051.91.81.40.3中京圏岐阜、愛知、三重79.50.10.20.36.50.967.72.40.4大阪圏京都、大阪、兵庫116.10.00.30.58.21.01.599.22.8京阪周辺滋賀、奈良、和歌山24.20.00.00.21.90.21.03.217.0中国鳥取、島根、岡山、広島、山口44.00.10.10.23.70.40.53.70.3四国徳島、香川、愛媛、高知22.30.10.00.11.90.10.52.30.2九州・沖縄福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄61.30.20.10.47.30.60.82.00.4地域外合計-3.83.57.857.86.48.719.15.3家計保有金融資産総額資産移動先資産移動元(注)資産移動先の「九州・沖縄」は、熊本県を除く7県で推計。(資料)図表6~図表8全て総務省「国勢調査」、同「全国家計構造調査」、国立社会保障人口問題研究所「人口移動調査」図表6相続発生に伴う家計金融資産の地域間移動額 (兆円)中国四国九州・沖縄地域外合計0.10.00.14.70.00.00.29.50.10.00.29.30.40.32.319.70.30.10.315.40.30.20.611.81.10.61.017.00.10.20.37.233.90.30.910.10.716.10.46.30.80.348.512.83.82.06.2124.5 7全国11地域の家計金融資産の出入りを俯瞰すると、他地域から東京圏への流入額の大きさが際立つ。中部・北陸地域からの10兆円を筆頭に、大阪圏と北関東からはそれぞれ8兆円前後、東北と九州