はじめに
2023年9月7-8日に行われた「持続可能な社会のための科学と技術に関する国際会議2023」では、関東大震災100周年を記念し、壊滅的災害からの復興と社会変革のテーマで議論が行われた。会議には81名が日本学術会議講堂で、419名がオンラインから参加し、12か国および地域から参加した。会議の2つの目標として、震災経験の共有と国際協力の推進、そしてレジリエントで持続可能な社会への変革が設定された。
テーマ1:壊滅的災害の経験と変革
1-1 関東大震災とそこからの復興
関東大震災の経験から、復興過程で経済成長を追求するあまり耐震性や都市計画が犠牲になった側面があることを示した。戦後の防災政策は充実したが、今後はガバナンスと投資の洗練が必要である。
1-2 壊滅的災害と国際協力
壊滅的災害は「想定外で未曽有」とされることが多いが、歴史を振り返れば頻繁に発生している。災害リスクの共有と国際協力が重要であり、事前のリスク評価と備えが効果的である。
テーマ2:壊滅的災害を乗り越える道筋
2-1 将来推定が示す壊滅的災害
科学技術の進歩により将来のハザード推定が可能だが、超巨大地震や気候変動などの不確定性を認識する必要がある。民間投資を活性化し、科学的裏付けの基準を整備することが重要。
2-2 壊滅的災害を乗り越える社会への変革
都市整備、ガバナンス、DXなどの社会基盤への投資が緊急の課題。地域社会、政府、学界、産業界、市民社会の共同行動が必要であり、国境を超えたレジリエンス構築も重要。
2-3 社会変革を支える科学技術
ICTとデジタル・ツイン技術を活用し、情報インフラの最大限の活用が求められる。地理空間技術に基づく情報サプライチェーンの構築が重要。
2-4 若手・中堅研究者からの声
レジリエンス能力のメカニズム解明や、防災投資のジレンマ解決、社会変革による負の影響緩和などの研究が必要。ウェルビーイングの条件についても明らかにすべき。
提言「残された時間で何をすべきか」
日本政府が想定するスケールの壊滅的災害を乗り越えるためには、科学的検討と実践に注力すべき。日本学術会議は「壊滅的災害を乗り越えるためのレジリエンス確保のあり方」を発出し、以下の4つの優先行動を提案した。
(1)災害リスクについての理解の深化と展開
(2)災害に対処する新しいガバナンスの確立
(3)災害に対する財政支出・人材育成・技術開発投資の確実な実行
(4)より良い復興(Build Back Better)を可能にするための事前方策の確立